海にダイバーの姿が少なくなってきた11-12月、上流にいた屋久島のアユたちが一斉に中流域まで下りてきて産卵が始まる。
屋久島より南にある奄美大島以南にはリュウキュウアユ(P. altivelis ryukyuensis)という亜種がいるのだが、屋久島のアユは内地の川で見られるアユ(P. altivelis altivelis)と同じ種類だとされている。
アユの南限はこの屋久島となるのだ。
リュウキュウアユは絶滅危惧種に指定され、その保護が叫ばれているのに対し、屋久島のアユは本土と同じ種類だという事もあってか、その重要性が話題になる事もなければ、特に保護策がとられる事もない。
しかし屋久島のアユは内地のアユには見られない遺伝子をかなりの頻度で保有していて、遺伝的分化が見られる事はずいぶん前から知られている。
そして面白いことに屋久島のアユは川ごとに微妙に遺伝子に差異があることも解ってきている。
アユは孵化後一度海にでるのだが、沖合に出ることはなく、しばらくはその河口周辺に留まり、春には同じ川を遡上する。
また生まれた川に戻るわけだ。
そして血はどんどん濃くなっていく。。。
つまり、屋久島島内のアユは遺伝的多様性が低い。
遺伝的多様性が低いと、ちょっとした事が原因で絶滅する可能性を秘めている。
島内でもっと屋久島のアユが遺伝的に特異な地域集団であることを認識し、保全上の「価値」について議論が必要だ。
屋久島のアユもリュウキュウアユ同様に積極的な保護策が必要だと思う。
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