屋久島のサンゴというとホームグラウンドの「一湊タンク下」にある国内屈指の規模を誇るハナガタサンゴ類の群落が有名だが、そのスグ横に広がるウスサザナミサンゴ群落もとても見事でなかなかの規模だ。
ハナガタサンゴ類は近年、ポイント全体の泥化に伴い、だんだん元気を失いつつあるが、ウスサザナミサンゴは今も元気でますますその勢力を広げている。
スグにボキボキと折れそうな一見弱そうなサンゴに見えるが、実は環境の悪化には強いのではないかと思う。
色彩的にも綺麗で規模的に貴重なだけにハナガタサンゴ類がどうしても注目を浴びてしまうが、実はこのウスサザナミサンゴの群落周辺の方が圧倒的に魚影は濃い。
このサンゴにはコブシメが卵を産みつけ、サンゴの上にはカブラヤスズメダイ、クロヘリイトヒキベラ、ミスジチョウショウウオ、ゴマハギなど多種多様な魚たちが集まり、とても賑やかだ。
これはこんもりと山のように連なり隠れ場所のないハナガタサンゴ類に対し、ウスサザナミサンゴには魚が隠れることができるような場所が沢山あるからだ。
少し乱暴な言い方になるが、ハナガタサンゴ類が消滅してもこのポイントの他の魚たちに目に見える大きな変化はないが、ウスサザナミサンゴが消滅してしまうことがあれば、一気に魚影が薄くなり、ダイビング・ポイント全体の華やかさも失われてしまう可能性は大だ。
ウスサザナミサンゴ群落はこのダイビング・ポイントにおける天然の漁礁なのだ。
潜ファンダイビング
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