冬から春にかけて何となく寂しく地味に感じる水底が、6月ごろから急に華やいでくる。
これは4-5月に繁殖行動を始めた各種スズメダイたちの幼魚が一斉に見られ始めるからだ。
ヒレナガスズメダイ、イチモンスズメダイ、ルリホシスズメダイ、クロメガネスズメダイなどの幼魚が溶け始めた海藻の陰から、チョロチョロと顔を出す。
6月の屋久島の海は黒潮の完全接岸を目の前にして、黒潮が寄ったり離れたりを繰り返すため、透明度の良い日と悪い日の差が激しい。
透明度が落ちる時は浮遊物の多い黒潮の縁が屋久島に接しているときで、海中は浮遊物が多く、溶け始めた海藻が汚らしく舞うため、視界の悪い日が結構あったりする。
そんなときは、否応なしに僕の目は水底付近にいる小物を探し始める事になる。
解けたり、千切れたりしてユラユラ揺れている海藻の陰からチラチラ見える綺麗なスズメダイの幼魚たちを見つけると、まるで宝物でも見つけたかのような高揚感が湧き上がり、過去に何回もカメラを向けたスズメダイでも、嬉しくてついつい何枚もシャッターを切ってしまう。
「海の中の宝石探し」というと、様々な色彩やデザインが見られ、その美しさからウミウシがダイバーの間では有名だが、スズメダイの幼魚もなかなかのものだ。
成魚になると地味になってしまう種類も多く、幼魚期の短い期間だけ最高の輝きを放つ。
こうしたスズメダイの美しい幼魚たちが水底を華やかに演出し始めると、夏はもうスグそこまで迫っている。
潜ファンダイビング
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