屋久島の海には四季があり、春には春の風物詩がある。
春の海中は動きや変化が一年のうちで最も多いので、例を挙げるとキリがないのだが、その代表的なものがアマミスズメダイの幼魚だ。
アマミスズメダイはスズメダイの仲間としては珍しく、冬季に産卵を行う。
水温がかなり落ちて、他の魚たちの活性が鈍い中、このアマミスズメダイの成魚たちだけは活発に動きまわり、求愛や産卵を行う。
そして春にはダイビング・ポイントの至るところで、このアマミスズメダイの小さな幼魚を目にするようになる。
ちょうど3月上旬から咲き始めた山桜が完全に散り、今度は里のソメイヨシノが満開になる4月中旬がそのピークだ。
ちなみに寒暖の差が比較的少ない屋久島では、ソメイヨシノの開花は全国に比べやや遅い。
成魚はスズメダイとしては大型種に属し、地味な部類の魚なのだが、幼魚時は腹ビレや尾ビレの付け根などが蛍光ブルーに染まり、頭部に入るV字の蛍光ブルーラインも美しい。
この綺麗な幼魚が点在する様子は散りばめられた星を見ているような感覚だ。
この海の中の蛍光ブルーの桜が満開になる頃、これに遅れてようやく他の魚たちの繁殖も盛んになってくる。
夏ももうスグそこまで迫っている。
潜ファンダイビング
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