僕は昔からヘビギンポの仲間が好きで、特別な愛情を持って接してきた。
ヘビギンポはスノーケリングでも観察できるような極めて浅い水深で見られるため、タンクの残圧を気にすることなくのんびりとその生態を観察できるのがいい。
ヘビギンポの仲間のオスは繁殖期、いつもと違う派手な体色に変わりメスに求愛する。
これを興奮色(婚姻色)と呼んでいるのだが、その色彩は種類によってそれぞれ異なるため、この興奮色で、ある程度種類が特定できる。
北から南までかなり広い範囲で見られ、日本で最も多く見られるヘビギンポの興奮色は「黒」。
このヘビギンポは温帯域では7月頃、伊豆諸島では4月頃が繁殖期なのだが、屋久島では年が明けて間もなくすると繁殖期に突入する。
繁殖期は各オスが一定の間隔でテリトリーとなる産卵床を持ち、お互いを牽制し合いながらメスが近寄ってくるのを待つ。
たまにオス同士の小競り合いも見られるのだが、これがかなり激しい。
そしてメスが近くに寄ってくると、すべてのオスが一斉に求愛を始める。
その場でピョンピョン飛び跳ねたり、グルグルまわったり。
カエルのように口を大きく開けて、何かを叫んでいるような行動も求愛のひとつだろうか?
いずれにしても興奮している様子は誰が見ても一目瞭然だ。
メスは1ヶ所、気に入ったオスの産卵床に入り込んで、早速産卵を始めるのだが、この時、周りのオスの反応も凄まじいものがある。
フラレてもなお諦めない。
相変わらず、求愛のダンスを踊り、こっちに来るように誘いをかけていた。
メスが丁寧に卵を産み付けている間、オスはその周囲を興奮しながら飛びまわり、たまに精子をかける。
潜ファンダイビング
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