屋久島はコブシメ・アイランドだ。
至る所に産卵床となるウスサザナミサンゴの群落があり、繁殖最盛期の5月初旬には数十匹の雌雄が集まり、大産卵ショーが繰り広げられる。
繁殖期は年明けと共に始まり、水温が急激に上昇する初夏までそれは続く。
繁殖が始まったばかりの頃のウスサザナミサンゴの上には雌雄1ペアと取り巻きのオスが4-5匹という少なめの構成。
繁殖最盛期になると産卵中のメスには触れそうなくらい至近距離まで近づいて観察できるのだが、この時期の新妻はもの凄くシャイだ。
写真を撮るためにしばらくサンゴの近くで粘っていると、なかなか産卵に寄って来ない上に、産卵にやって来てもさっさと卵を産み着けると、すぐに恥らいながら(?)逃げてしまう。
それが繁殖最盛期になると堂々としたもので、僕らダイバーをまったく避けることなく、産卵という目的を果たすために真っ直ぐにウスサザナミサンゴに寄ってくる。
産卵中もお客さんと一緒に囲んでそれを観察していても、何も気にする様子も無く、しっかり卵を産み着け、ダイバーの真横をゆっくりすり抜けて去っていく。
つまり産卵が盛んになってくればくるほど、警戒心がどんどん薄れてくるわけなのだが、これははたから見ると娘の頃には持っていた恥じらいの気持ちを忘れ、結婚生活に慣れ切ったおばちゃんのようでなんか面白い。
潜ファンダイビング
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